鏡のような人
ステージ上のその人はとても眩しかったです。
鏡のように輝く人だなと感じました。
人を美しいと思ったのはいつ以来でしよう。
均整がとれたその動作は 一挙一動が なんだか光のようにまっすぐで とてもまぶしく
周りに光線が幾重にも反射しては、屈折し、
永遠に続く光のようにひたすらに輝いていました。
鏡に映る光は、反射と屈折が幾重にも重なり、
境界を曖昧にし、世界を攪乱させ 欺瞞に満ちた現実への底知れぬ悲観などを当に消して、
非現実への甘い錯覚と死への明るい誘いをわたくしに。
なにひとつ 躊躇わない
しかし 浮世への終わりの見えぬ反抗に疲れた憂いが柵として絡みついて 許さない。
甘い雰囲気をまとう手付きに
わたくしは酔い痴れてしまい
貴方は、鏡の光となって美しいままに世界に残って
いっそ、このまま、わたくしなど死んでしまえばと 願うのでした。